これは、ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2020の12日目の記事になります。
qiita.com
■今回のお話
ZoomやSlackで何回かやりとりはしたことがあるものの、直接会ったことはないテスターに4日間でテスト仕様書を書いてもらうという無茶なことをやりました。その時の経験を勝手ながら共有させてください。
■体制
私以外のテストチームのメンバーは次の通りです。
Aさん …… テスター。IT業界は初めてとのこと。
Bさん …… テスター。知見はそこそこありそう。PJへの参画は私たちとほぼ同じ。
Cさん …… 後輩。ものすごく有能。
元々はAさんと別の方(Dさん)がテスターとして活動していたようです。Dさんの離職に伴いBさんが入り、同時にテストチームの体制を立て直そうということで、テストを専門としているCさんと私がプロジェクトに参画することになりました。
AさんとBさんは私たちとは別の会社に所属。ダブルワークをしているとのことで、日中は別の仕事を行い、こちらの仕事は夜に自宅で行うという状況です。
■テスト仕様書を作成することになった経緯
プロジェクトに参画の2週間後のことです。発売中の製品の品質があまり良くなかったので、テストを再実施しようということになりました。
それまで使用していたテスト仕様書に代わり、まずは私の方でテスト仕様書のフォーマット作成を行ってお客様に提供。そのフォーマットを使用してお客様がテスト仕様書を作成する予定だったが、サンプルが欲しいということで、製品の一部の機能について私たちの方でテスト仕様書を作成することになった。
というのが経緯です。
■こんなこともあろうかと(1日目)
私とCさんは現行の製品の不具合改修確認とお客様対応で手一杯になっていたため、手が空いているのはAさんとBさんしかいません。
先ほど書いたように、AさんとBさんはダブルワークでリモートワークという働き方をしています。夜間に仕事をするのですが、私たちの勤務時間は10時から19時。Zoomで説明しようにも30分ぐらい時間を合わせるのが限界という状況のため、意思の疎通を図るのも一苦労です。
というわけで、一から作成するとなると絶望的なオーダーだったのですが、実は(テスト仕様書の作成依頼も来そうだな)と感じていたので、観点と項目の一部は私の方で作ってあったんですよね。
「こんなこともあろうかと」と、私が作成したテスト手順書をAさんとBさんに引継ぎすることにし、Zoomで今回の作業について説明。2日目に一度チェックし、完成の目途をお客様に伝えることにしました。
■テスト仕様書作成中(2日目)
2日目の朝に出来上がりをチェック。観点の追加だけを想定していましたが、試験の前提条件や試験手順などもある程度埋まっていました。「おお、すごい」と思いましたが、前提条件に試験手順が書かれてしまっているなどの問題が見つかりました。テスト手順書の書き方についてはルールを作っておいたのですが、どうやら伝わっていなかったようです(涙
さらに、お客様から「テスト手順書にバリデーションチェックの観点も入れてね」と言われてしまい、項目の追加が発生しました。対象外で調整していたはずなのに……。
昼間は私の方でテスト項目書のレビューと新規項目の追加を行い、テスト手順書ルールを送付。それからバリデーションチェックの観点が必要となったので、新規に項目を作成して欲しい旨をAさんとBさんに連絡。
■直ってないじゃん(3日目)
「前提条件に試験手順が入ったままじゃーん!」
とはいえ連携ミスの原因はこちらにもあるはずなので、試験項目のサンプルをさらに増やし、「これと同じように作ってね」と説明。バリデーションチェックの項目も統一感が無かったので、改めてサンプルを作成しておきました。5日目にお客様に提出するということを考えると、今夜が正念場。
がんばってくだされ(祈り
■おっ、いいね(4日目)
サンプルが良かったのか、ところどころおかしいところはありましたが、前日に比べると格段に良くなりました。お客様に提出する前に私とCさんで最終チェックは行いますが、今夜がテスト仕様書の作成の最終日となります。
項目漏れが無いかどうかの見直しと、必要があれば項目の追加、時間があれば体裁を整えることをメインに作業してもらうことにしました。
■そして提出へ(5日目)
ここでトラブル発生。とある事情によりSlackが使用できなくなり、テスターと連絡を取ることができなくなりました。ありゃ? 昨夜の成果物は……?
ラッキーなことに、たまたまAさんと電話番号の交換をしてありまして、SMSで連絡してファイルを送ってもらうことができました。
その後、私とCさんでもらったファイルの手直しを行い、予定通りお客様に提出することができました。あまりレビューが行えなかったため、テスト仕様書の質は若干低い気もしますが、テスター2名がこの短期間でよく完成まで持って行けたものだと感心しています。
そうそう、AさんとBさんとはZoomで会話をしましたが、基本的に顔出しをしない文化だったようで、プロジェクトが終了した今でもお互いの顔を知らないままとなっています(笑)
■まとめ
今回は短期間、かつリモートでテスト仕様書を作ってもらう必要があるということで、以下の事を意識して仕事を進めました。
- 考えてもらうことを減らす
観点やサンプルは事前に用意し、作成者はできるだけ考え込まずに済むようにしました。
- 仲間として接する、信頼する
指示を出す者・受ける者、上位職・下位職、会社が違うなど、いろいろな環境や立場がありますが、目的を共有するものとして仲間意識を持つ必要があると思います。
個人的な話になりますが、ハイキュー!!に出てくる「ネットのこっちっ側にいる全員! もれなく味方なんだよ!!」という言葉が大好きです。
- 楽しく仕事をする
Zoomで会話をするときに、楽しく会話することを心掛けました。事務的に進めることもできますが、気持ちよく働いてもらうに越したことはないので。
- 連絡手段を複数確保する
Slackに頼り切らず、メール、電話など、複数の連絡手段を持っておくこと。今回はたまたま電話番号を貰っておいたので、テスターにすぐに連絡が取れました。ただし、電話番号は個人情報の取り扱いが絡んでくるため難しいところです。
あとは、Aさん、Bさんの仕事が早かったからというのもあると思います。
むちゃ振りにも関わらず、本当にありがとうございました。
また、つたない文章にも関わらずここまでお読みいただき、ありがとうございます。
とりあえず今回は以上です。